
子供がアメリカの公立小学校に通い始めて1年弱経ちましたが、いまだにアメリカの学校やそこで出会う保護者との関わりの中で驚くことが目白押しで、はじめは戸惑っていた私もだんだん楽しめるようになってきました。
今回はアメリカと日本の公立学校の違いについてご紹介します。
便利な越境入学システム
アメリカの公立学校は、日本と同じように住んでいる地区によって通う学校が決められています。
ここで、ポイントになるのが学区内の学校に通いたくないという場合です。
その前に、アメリカでは「学校評価サイト」があり誰でも学校の評価(格付け)を見ることができます。
大抵10段階で評価され、面白いのは在校生の人種が円グラフで表されていたり、低所得者の割合、学力が州の平均スコアよりどれほど高いのか、もしくは低いのかなど、事細かな情報がそのサイトより得られます。
出典:写真AC
話は戻りますが、この学校の評価を見て、州が決めている学区内の学校に通いたくないとなった場合はどうするかです。
私の住むカリフォルニア州には「Choice」というプログラムがあり越境入学希望者は何校か希望の学校を挙げ、抽選の末に限られた枠内で選ばれれば越境して入学、転入することが認められます。
ただChoiceプログラムは抽選と言う運次第というところもありますので、良い学区の学校に通わせるためだけに、その学区に引越しをするというのも珍しい事ではありません。
車送迎が当たり前
我が子が通う学校の生徒は徒歩もしくは車で通学しています。
聞いた話によれば、州の教育にあてがわれる予算の財政難によりスクールバスが廃止されたとのこと。
住宅街の中に学校があるのですが、朝と帰りの送迎時には学校周辺が保護者の車で埋め尽くされます。(道路が広いので交通に影響はあたえません)
下校時のお迎えに関して言えば、学校が終わる1時間以上も前から、なるべくよいスポットに停める為にスタンバイしている親御さんもいらっしゃいます。
うちの学校では、登校時は一度校庭に集合し、始業ベルが鳴ると担任の先生たちが生徒を迎えに来て、みんなで一緒に教室へ向かいます。
この集合場所の校庭まで子供を見送ったり、ベルが鳴るまで子供と一緒に待機するのも普通の光景です。自宅から徒歩通学が一般的な日本とは何から何まで違いすぎてはじめはカルチャーショックでした。
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ここでまたアメリカならでは?なのが、「専業主夫」の多さです。
送迎も、保護者会も、ボランティア活動も、いつもお父さんの担当!なんてご家庭もまったく珍しくありません。
朝の子供の見送りも見渡せば半数は男性です。
車社会だから成り立っている事もあるでしょうが、出勤前に子供を学校に送り届ける習慣もアメリカらしさを感じます。
学校はボランティアで成り立っている
新学年が始まると、この「ボランティア」の言葉が飛び交います。
遠足の運転手(バスをチャーターしない場合は各保護者の車に子供を2,3人乗せて遠足に行く)、体育、美術など先生の補助をする保護者など、事あるごとにボランティアの保護者が活躍するのです。
学校によっては必要数を大いに上回るボランティア希望者が集まることもあるのです。
そして、ボランティアになるにはあることを証明しなければなりません。
それは「結核」ではないこと。
BCG注射を受けている日本人はこの結核の有無を調べるテストをすると、陽性反応が出てしまうことがほとんどで、さらに「これは本当に結核ではないのです」という証明をするためにレントゲンを撮って疑いを晴らす…など、気の遠くなる手順を踏んで、やっとボランティア活動ができます。
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このようにして、保護者の協力により、より良い学校環境、学習環境が整っているところは日本のPTAにも似ているかもしれません。でも、PTAをやりたくない保護者も多い日本に比べ、保護者がこぞってボランティアになりたいと希望するところがアメリカならではでしょうか。
日本のような入学式もなく、日本人の私には少しあっけなく始まってしまったアメリカの学校生活ですが、親が自然に学校と関わりを持って行ける風潮がとても好きです。
後編へ続く
ライター あおば、2児のママ。アメリカで子育てを楽しんでいます。