【ママ友小説】ママ友カースト~噂話はエスカレート!噂のでどころを知った友美は行動を起こす

【幼稚園のママ友トラブル~ママ友カースト第8話】
友美は、娘の梨華が幼稚園のお遊戯会で主演に選ばれて、とても喜んでいた。しかし、仲の良かったママ友の桜子から、嫌われてしまう。しかし、友美は桜子に嫌われた理由に納得していなかった。




友美と娘の梨華の悪い噂はどんどんエスカレートしていく

「ねぇねぇ、梨華ちゃんがお遊戯会で主演やるのって何で決まったか知ってる?」
「梨華ちゃんが赤ずきんやりたいって駄々をこねて、あまりにも手がつけられなくなったからでしょ?」

「梨華ちゃんのママが、直接先生に直談判したからじゃないの?」
「え~、そんなの不公平じゃない。」

向こうにいるお母さんたちから聞こえてくる会話に、胸がドキドキしている。
違うのに。違うのに。
私の耳に入るように、わざと今噂をしているのか。それとも、私がいないと思ってか。

「梨華、いってらっしゃい。」
「いってきまーす!」

梨華の耳にはこんな噂が入らないように……。
絶対ショックを受ける。もう理解できてしまうと思うから。

「友ちゃん、帰ろう?大丈夫?」
「うん!大丈夫だよ。」

瞳ちゃんがいてくれて、本当によかった。
一人でこんな噂には耐えられなかった。

「他のお母さん達が話してる噂って、工藤さんが言い出したんでしょ?」
「たぶん、そうだと思う。他の人が言い出す事はないと思うし。」

「本当、幼稚だよね~。自分の娘が主役できないからってさ!」

……本当に、ゆいちゃんが主役になれなかったからってだけだろうか?
確かに、佐藤さんの件も似たような状況だった。ゆいちゃんがモデルになれなかったからって。

でも私の場合は、お遊戯会の事だけが原因ではない気がする。
ただ、他の理由が思いつかないけど。

「パパ?今幼稚園でさ……。」
梨華が寝た後、旦那に今の状況を説明してみた。

「何?それはいじめにあってるってこと?」
「いじめって訳ではないと思うけど、瞳ちゃんが一緒だし。」

「そうか。でも、くだらないことをする人だね。エスカレートしたら、すぐに言ってね?俺も一緒に、幼稚園に行くなりするから。」

私には旦那もいる。それだけでも、十分心強かった。
でも、噂話はやはり一人歩きした。

「ほら、梨華ちゃんって入園式で園児代表だったでしょ?あれ、本当はゆいちゃんがやるはずだったんだって!」
「梨華ちゃんが表彰されたり作品が飾られるのも、先生の中にコネを使える人がいるかららしいよ?」

梨華に対しての陰口や噂話がどんどんエスカレートしていく。

ひどい……!

全部デタラメ!違うのに!

違うんですよ!と言おうにも、私を見ると視線をそらしたり、さらに大声で話し出したりして近づけない。

そもそも、会話に割って入って弁解しようものなら盗み聞きしたのか、なんて言われそう。
噂を流したであろう当の本人の桜子さんは、涼しい顔して知らん顔。
この人は、どうやって噂を流していってるんだろうか。

「おばさんって、本当に噂話しが好きだよね~。マジウケるわー!」
瞳ちゃんが、まぁまぁデカい声で言い放つ。

「ちょっと……!」
私は、瞳ちゃんの手を引っ張ってあわてて幼稚園から出た。

「もー……!敵を作りたいの!?」
そう言いながら、私たちは笑い合ってしまった。

「おばさんて!明日から何言われるか!」

佐藤さんは、良くない噂話が流れてからあっという間に特別教室へ行ってしまった。
だけど、間もなく噂話も消えていった。

でも私の場合は、瞳ちゃんのおかげで普通に送り迎えができているから、噂話も消えないし余計にエスカレートしているんだろう。

「大丈夫だよ!私もいるし!気にしない!事実じゃないんだから!」
「うん。ありがと!」

何日かして、佐藤さんから連絡が入った。
「時間がある時にでも、話しがあって」
私は今からどうぞ、と家に呼んだ。

ボスママグループにいたママが教えてくれたママ友カーストの事実

「一ノ瀬さん、今すごく噂されてない?」
「聞いたんですか?でも、全部嘘で!」

「分かってる。聞いたって言うかね、メールが来たんだよね。私の時もそうだったと思うけど。」

私は、全てを聞いた。

ママ友グループの連絡網があって、誰からともなく噂話を大きくしていっていること。
その噂話の根源はやはり桜子さんだった。

「あの人も、声を大にして噂を流しているわけじゃないの。何でも、ゆいがやるはずだったのに……ってつぶやくだけ、いろんな人に。そうしたら、あとは勝手に噂が大きく広がってくれるから。良くない噂なんて、すぐに広まる。」

「……佐藤さんは、今は?」

「もう私の噂話なんておしまい。何事もなかったかのように、グループの連絡が来るし。」

私は、なんで桜子さんからこんな嫌がらせを受けなければならないのか、もやもやした気持ちが消えずに思わず言った。

「赤ずきんちゃんをできなかったからって、なんでここまで……。」
「それだけじゃないみたい」



佐藤さんが続けて話す。
「これは、昼間さんから聞いたんだけどね。」

桜子さんは、自分と関わるお母さんたちには何かしら突出したものがある人を選んでる。
佐藤さんは、息子がキッズモデルをしている。
有馬さんは、旦那さんが政治家でこの地域の有権者。
昼間さんは、旦那さんが開業医でものすごくお金持ち。
私は……娘が先生も太鼓判押しの勉強のできる優秀な子。

「こうやって、自分は一番上。その下に私たちを従えてママ友カーストを作っているの。」

桜子さんが私と仲良くしてくれていた理由が、この時やっと分かった。
そっか。だから、私は桜子さんに近づかれたんだ。気が合うとか、入園式で隣に座ったからとか、そんな事これっぽっちもない。

自分の部下を優秀な人材にしたいだけだったのかな。私は何も優秀じゃないけど。

「それから、一ノ瀬さん最近桜子さんとランチしたりした?」
「最近、役員会もあってちょっとバタバタしちゃって。それと、最近仲良くなったママがいるんです。ずっと一緒にいて。」

「多分、それかな。桜子さん、一ノ瀬さんに裏切られたとか言ってるみたいよ。」
「えっ!?私、なんにも……。」

「これは私の見解だけど。その、仲の良いママが桜子さんのカーストの中で一番下の方だったんじゃない?それが気に入らなかったんだよ。で、お遊戯会の事もあって、一ノ瀬さんもカーストの一番下になったんじゃないかな?」

「え?!そんなの……。」

佐藤さんは、私の言葉をさえぎるようにして言った。

「くだらないよね。笑っちゃうよね!本当。昼間さんも、お兄ちゃんの時に違うお母さんから聞いたんだって。上の学年のお母さん達には、有名らしいよ?桜子カースト。でも、誰も止められないみたい。桜子さんにはいろんなコネがあるし、何かされるの怖いもんね。」

私は、ぼうぜんとしながらも、いろいろと腑に落ちることがあった。
少し、泣きそうにもなった。

あんなに仲良くしてくれていたのに、
初めてできたママ友なのに。

「一ノ瀬さん、大丈夫?時間が経てば、私の噂話みたいに皆から忘れられるよ。」
「大丈夫です!もうあまり桜子さんに関わらないようにします。」

胸が痛んだ。でもそれよりも、少しだけ怒りが勝った。
そして、くだらなすぎて本当に笑えた。

次の日も、その次の日も、私は周囲から痛い視線を送られ続けた。
でも、瞳ちゃんがいるから全然大丈夫だった。

だけど、とうとう恐れていた事が起こった。

娘の梨華へ影響が及んでしまったことに怒りが爆発する友美が行動を起こす

「まま……りか、あかずきんちゃんやらない。」
「りか?どうしたの?」

幼稚園から帰ってきて、家についた梨華が目をうるうるさせながら私の顔を見る。
そういえば、お迎えに行った時からおとなしかったな。

「りかちゃんはわがままだからあかずきんちゃんになれたって。せんせいはゆいちゃんにあかずきんちゃんやってほしかったのにって。えーん……。」

静かに泣き始める梨華をみて、私は心臓がエグられるような気分になった。

「誰が言ったの?」
「ひっく…ひっく…ゆいちゃんがいった……。」

「先生には言った?梨華のわがままで赤ずきんちゃんになったのか聞いた?」
「きいてないよ。」

私は梨華の肩をつかんで、目線を合わせて強く言った。

「梨華のわがままで、赤ずきんちゃんになったんじゃないよ!梨華も、ゆいちゃんも赤ずきんをやりたいっておててあげたんだよね?それで先生がよく考えて、梨華の方が上手にできると思って、梨華が赤ずきんちゃんになったの!だから、梨華はわがままじゃないよ。」

梨華は泣き止み、私の懐に抱きついてきた。
私は、梨華の背中をさすりながら抱きしめた。

「梨華、大丈夫?ママが言ってること、分かった?」
「うん!わかった、まま!」

私は、梨華が傷ついた事で怒りが一気に爆発しそうだった。
自分の子どもが傷つく事が、一番ダメージがかかる。
たまたまいつもより早く帰宅した旦那に梨華と夕飯の支度を押しつけ、幼稚園へ向かった。

私が梨華を守る。

怒りの感情は、とても強いものだ。
あらそい事が大嫌いな私が、今まさに闘おうとしている。
どうしていけば良いか分からないが、私は闘う。

次回は来週公開~【第9話・矛先は子どもへ!お遊戯会のあとにボスママが娘に言い放った言葉とは
ライター O. 2児の母です


SNSでもご購読できます。