日本語を忘れてしまう?アメリカでのバイリンガル教育の難しさ

アメリカ人の父親、日本人の母親を持つ我が家の2人の子供は、日本で生まれ4歳と6歳になるまで日本で育ちました。
アメリカに住んでいる現在、直面するバイリンガル教育の難しさや、奥深さをお話ししたいと思います。

第一言語の変化

2人の子供は、日本の幼稚園や小学校に通い、周りの日本人の子供と同じような環境で、日本語での生活も特に不自由なくやってこられたと思います。
しかし、渡米して約一年で、この第一言語が日本語から英語へと徐々に逆転していきました。

出典:ぱくたそ

 

それもそのはず、現地校に通っているので朝から一日中英語漬けの生活を送っているのです。
英語があまり得意でなかった娘ですら、今では沸くように英語がスラスラと出てきます。

子供の吸収力は「すごい!」と驚くと同時に、私には一抹の不安を感じました。
それは、あきらかに日本語力が落ちていることです。

家庭においてのバイリンガル教育

5歳になった息子は、渡米1カ月ほどで、ある日突然、私にも英語で話しかけるようになりました。
もともと、英語のほうが強い息子だったので、それほど驚きませんでしたが、私は日本語で接することにしました。

小学校1年生を日本で過ごした娘は、アメリカの学校に転入し、初めて英語での授業をある日突然に強いられることになるわけですが、彼女のポジティブな性格のおかげで特に嫌がることもなく、一生懸命英語での勉強に取り組んでくれました。
膨大な英語での宿題や毎週金曜日に行われるテストに備え、親子で必死になり毎日英語のみの勉強が続いたのですが、夏休みに入り、その負担からも解放され、「ちょっと日本語でも復習してみようか」と教材を広げたところ、日本語力の低下に気づかされました。

得意だったカタカナ、漢字がなかなか思い出せなくなっていました。
日本では小学2年生の年になったので、日本から送ってもらった2年生用のドリルに取り組むもその前に、1年生で習った事を忘れ始めているのです。
これは、継続して復習させなかった私の責任だと思っています。

バイリンガル教育を成立させるためには?

出典:写真AC

 

私の住むカリフォルニア州には、補習校や日本語で過ごす幼稚園など数多くあります。
幼稚園では、日本人の先生により、日本語の歌を歌い、日本ならではの季節の行事を体験し、運動会や夏祭りなども開かれ、アメリカにいながらにして日本の文化に触れる事ができます。

補習校は、小学部から高等部まで設けられ日本の文部科学省の方針に基づいた、日本と同じカリキュラムを学ぶことができます。
この補習校に通わせるために、往復160kmかけて通っている方もいるほどです。

しかし、授業は土曜日のみとなり、1日では補えきれない授業の内容は、1週間分に値する量の宿題として出されます。
現地校(アメリカの学校)での宿題もありますので、子供への負担は大きくなります。
その他にも、日中は現地校に通い、放課後に家庭教師をつけて日本語を勉強するという例もあります。

バイリンガル教育をするにあたり求めるもの

そもそも、バイリンガル教育において、ゴール・目標とはどこにあるのでしょう。
それは、親御さんがお子様にどの程度の日本語・学力を求めているのかにもよると思います。
日本語での会話ができる、ひらがな・カタカナが読める、漢字が読める、日本と同じ教育を受けていつでも日本の学校に転入できる程度の学力があるなどです。

日本からの駐在員の場合、ほとんどのお子様は補習校に通っています。
それは、日本にいずれ戻ることを見越し、子供にはその環境に対応できるような学力を身に着けておきたいとのことでしょう。

我が家では、主人の「週末は子供と過ごしたい」との事から習い事などは週末一切入れず家族で過ごす時間となっています。
この時間を補習校にあてれば日本語の能力もあがるのでしょうが、我が家では日本のドリルなどを使い、私が教えられる事を子供のペースで進めています。

出典:ぱくたそ

 

求めれば求めるほど時間も費用もかかるバイリンガル教育ですが、我が家のような2か国の国籍を持つ子供が、ある程度の年齢になり親元を離れるときに「日本に住みたい」「日本の学校に通いたい」「日本で働きたい」と考えることも起こりうることです。
その時にできるだけ不自由のないように下準備の機会を与えることが、今私が親としてできるバイリンガル教育なのかもしれません。

やっと慣れ始めたアメリカ生活での次のテーマは、子供にどの程度の日本語学力を求めるかということになりそうです。

ライター あおば
アメリカ生活を楽しんで子育てしています。



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