【ママ友小説】疲れる?面倒?~LINE依存のママ

誰とでも気軽にやり取りできるLINE。ズボラな私には若干不向きだけどすごく便利なもの。
もちろん幼稚園のママ達はみんな使ってる。

でもそのLINEに依存しすぎるとトラブルに発展してしまう。
そんなLINE依存ママによって振り回される私とママ友達のお話。



娘のリンが通う幼稚園は、少人数の小さな園で子供同士もママ同士もみんな仲が良くてとても雰囲気がいい。
それに、仲はいいけど、幼稚園でもプライベートでも適度な距離を保って付き合ってるから、よく聞く『ママ友トラブル』とは無縁だった。

数日前、パパの転勤で引っ越してきて、この幼稚園に転入してきたリカちゃん。

「お名前が似てるんだよ」
と言って、リンはすぐにリカちゃんと仲良くなった。

リカちゃんのママは、小柄ですごく可愛らしい感じの人。私の2つ年下でなんだか妹のような存在だった。

ある日、リンを幼稚園に送っていくとリカちゃんママがいた。

「おはよう!」
と声をかけると、

「リンちゃんママおはよう」
と笑顔で手を振ってくれた。

「最近暑くなってきたね~」
と話してると、

「あ、あのね……」
とリカちゃんママが恥ずかしそうに小さな声で言った。

私が
「ん?どうしたの?」

と聞くと、モジモジしながら
「あのね……連絡先交換したいなって。」
とさらに小さい声で言った。

「あ、そうだね。いいよ!交換しよっ!」
と私が言うと、
「ほんと!?ありがとう!」
と言って私の手をギュッと握った。

「えっと~番号と、あとLINEも交換しとく?」
と私が言うと、リカちゃんママは、

「いいの?じゃあ、お願いしていい?」
と嬉しそうに答えた。

交換し終わって携帯を握りしめながら

「リンちゃんママ、私からLINEとかしても大丈夫かな?」
と聞いてきた。私は

「え?いいよ。すぐに返せない時もあるかもしれないけど、いつでもしてきて。」
と答えた。

出典:写真AC

 

そして家に帰ると早速リカちゃんママからLINEが届いていた。

『初LINEだよ。リンちゃんママとLINEできるのすごく嬉しい!これからよろしくね!』
そして可愛いスタンプが届いた。私は

『リカちゃんママありがとう。こちらこそよろしくね!』
と返信した。

実は、私はLINEとかSNS関係が苦手。
LINEの返信を旦那に返し忘れてよく注意されてしまうくらいズボラで、こういった類のものは向いてない。

でも、ママ友とのLINEが続くのは最初だけで、徐々に大事な連絡がある時にしかこなくなるから気が楽。
リカちゃんママとのLINEもそのくらいの軽い気持ちでいた。

それから数日、リカちゃんママとのLINEのやり取りが数回続いたけど、1日数回程度だったから特に負担にならない感じで平気だった。

そんなある日、幼稚園に行くとママ達が数人集まって深刻そうな顔をして話をしていた。

私はその輪の中にいたトシくんママに
「おはよ。どうしたの?」
と声をかけた。するとトシくんママが
「あ、おはよ。ちょっと、困ってて。」
と言うので訳を聞いてみた。

「リカちゃんママいるでしょ?転入してきてすぐにみんなLINE交換したのよ。それで、最初は普通にたまにLINEするくらいだったんだけどね、段々回数が増えてきてて、深夜とか早朝とか時間関係なく頻繁にLINEがくるのよ。」
とトシくんママが言った。

「そうなの?深夜とか早朝はちょっと困るね。」
と私が言うと、

「まぁ、その時間は音出さないようにしてるからまだいいのよ。それより困ったことがあって……。」
とトシくんママが言葉を詰まらせた。

「困ったことって……?」
と私が聞くと、

「LINEがきてすぐに返信しないとまたすごい勢いでLINEがくるの。こっちが返信するまで連続で。」
とそばにいたミホちゃんママが言うと、

「こっちにだって都合があるじゃない?LINE読むことはできてもすぐに返信できないことだってあるのに、数分も経たないうちに、既読スルーしないで!とか返信したくないの?とか連続でいれてくるのよ。」
とトシくんママが言った。



「最初は、すぐに返信できなくてごめんねって謝ってたんだけど、毎回毎回そうやって言ってくるから疲れちゃって。そしたらこの間リカちゃんママに直接言われちゃったのよ。」
とミホちゃんママが言った。

「何て言ってきたの?」
と私が聞くと、

「私とLINEするの嫌なら嫌って正直に言って!無視されるくらいならしないほうがいいもの!……って半泣きで言われたのよ。」
とため息をつきながらミホちゃんママが答えた。

「泣きながら?そんなこと言ってたの?」
と私はちょっと困惑しながら聞いた。すると、

「それも私だけじゃなくてみんなそうらしいのよ。」
とミホちゃんママが言うと、みんな困った顔をしながらうなずいていた。

「私もリカちゃんママとLINEしてるけどそんなことないけどな……。」
とつぶやいた。すると、

「まだLINE始めたばかりなんじゃない?」
とトシくんママが聞くので、

「そうね……。まだ数週間かな?」
と答えた。

「1ヶ月経つ頃気を付けたほうがいいわよ。」
と耳元でトシくんママが囁いた。

ママ達と別れてからの帰り道、私はリカちゃんママのことを考えていた。

『そんなに困ったLINEがきたこともないし・・・きっと大丈夫。でも返信するの忘れないように気をつけなくちゃ。』
そんなことを思いながら歩いていたら、バッグの中で携帯がなっているのに気が付かなかった。

帰宅してからお迎えの時間まで、来客があったり家事をやったりとバタバタしていて、ずっと携帯を放置したままになっていた。

出典:写真AC

 

幼稚園にお迎えに行った時、リカちゃんママに

「リンちゃんママ?」
と呼び止められた。私が振り向くと、

「返事ないから心配したのよ!」
と心配そうな顔をしてリカちゃんママが言った。私が

「えっ……?」
と不思議そうな顔をしていると、

「LINE!全然既読にならないし、返信もないからどうしたのかと思って。リンちゃんママに何かあったんじゃないかと思ってすごく心配したんだから。」
とリカちゃんママが早口で言った。

私はバッグの中の携帯を取り出し、
「あっ!ごめんね。家でずっとバタバタしてたから携帯見るの忘れてた。」
と言うと、

「もう……。リンちゃんママ気を付けてよ。」
とホッとした顔をしてリカちゃんママが言った。

「ほんとごめんね。私ズボラだからつい携帯放置しちゃうのよね~。」
と笑いながら言うと、

「そうなの?でも、私からのLINEは返してくれる……よね?」
と心配そうな顔をしてリカちゃんママが言うので、

「うん。気を付けるね。でも遅くなる時もあるかも。その時はごめんね。」
と言った。

リカちゃんママは
「リンちゃんママは大丈夫よ。じゃ、またね!」
と笑顔で手を振ってリカちゃんと共に帰っていった。

リカちゃんママが最後に言った言葉がちょっと引っかかったけど、返信が遅くなることがあるかもということも伝えたし心配することはないだろうと軽い気持ちでいた。

そんなやり取りがあったことも忘れた頃、幼稚園がお休みの日、私はリンと出かけた時に携帯を持っていくのを忘れてしまった。
数時間後帰ってから携帯を見ると、リカちゃんママからのLINEが何十件もたまっていた。私は慌てて謝罪のLINEを送信した。

すると、リカちゃんママから長文のメッセージが届いた。
『何で無視するの?ずっと返事くるの待ってたのに。リンちゃんママはそんなことしないと信じてたのにひどいよ。私のこと裏切るの?』
といった感じの内容が何行にもわたって書いてあった。

それを読んで正直ウンザリしたけど、携帯忘れていったことも返信が遅くなったことも事実だからと、私はリカちゃんママに謝罪のメッセージと明日幼稚園で話そうということを送った。

出典:写真AC

 

そして次の日、幼稚園でリカちゃんママと会い昨日の件についてもう一度謝った。
「本当にごめんね。うっかり携帯忘れて行っちゃって。帰ってから気が付いたの。リカちゃんママのこと、無視したとかそういうんじゃないからね。」
と何度も頭を下げた。

すると
「私からのLINE、迷惑ならそう言ってね。私はリンちゃんママのこと友達だと思ってるけど、リンちゃんママは違うかもしれないし。嫌なら嫌って言ってくれないと私バカだからわからないよ。」
とリカちゃんママが目を潤ませて言った。

「何言ってるの。リカちゃんママのこと私も友達だと思ってるよ。今回は本当に私がいけなかったよね。今度から気を付けるから。そんな顔しないで。」
とリカちゃんママに言うと、リカちゃんママは笑顔で
「うん」
と答えた。

それからリカちゃんママと別れて帰ろうとすると、トシくんママに
「リンちゃんママ大丈夫?」
と呼び止められた。

「やっぱり、こうなると思ってたのよね。」
とトシくんママはため息をつきながら続けた。

「リンちゃんママ、あまりリカちゃんママと深く付き合わないほうがいいわよ。リカちゃんママのLINEに付き合うとこっちが疲れちゃうから適度に軽く返しておけば大丈夫なんだから」
とトシくんママは言い、去っていった。

私はどうするべきか悩んだけど、元々携帯を放置してしまうようなズボラな性格。
今だけ頑張ってても長続きなんてしないし、リカちゃんママは話せばわかってくれる人だから大丈夫だよね……と思いつつ、リカちゃんママにLINEの返信をしてる私だった。

ライター ユーア
息子2人娘1人3人の母です。



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